聖書信仰の見張り人たち

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現代の使徒の教えをめぐってイスラエルのメシアニックジューが分裂の危機

『Israel Today』誌は、ユダヤ人の「使徒」と呼ばれるダン・ジャスター氏の団体「ティックーン」の神学をめぐり、イスラエルのメシアニックジューが分裂の危機を迎えていると報じている。

イスラエルのメシアニックジューが発行する雑誌『Israel Today』誌(Web版)に、「Messianic Jews Head Toward Breakup」(分裂に向かうメシアニックジュー)という見出しの記事が2月3日付けで掲載された。この記事では、ユダヤ人の「使徒」と呼ばれるダン・ジャスター氏のユダヤ人伝道団体「ティックーン」の問題を取り上げ、イスラエルのメシアニックジューが分裂の危機を迎えていると報じている。

この記事の冒頭で、記者のDavid Lazarus氏は次のように記している。

神のご介入がなければ、イスラエルのメシアニック会衆は本格的な分裂に向かっているように見える。 イスラエルのメシアニックジュー会衆が経験する最初の正式な分裂となるかもしれない状況の中で、私たちは最善の結果を望みつつ推移を見守っている。しかし、状況は思わしくない。

【原文を読む】

Short of divine intervention, it appears that the Messianic Congregations in Israel are moving toward a major division. In what is shaping up to become the first official breakdown among the Messianic Jewish congregations in Israel, those of us watching are hoping for the best, but it is not looking good.

この記事では、分裂の危機の発端はティックーンの神学にあるとしている。記者は、争点になっているのは主に3つであるとし、次のように説明している。

  • アライメント:これはティックーンの指導者の一人であるアシェル・イントレーター氏の著書「Alignment(アライメント)」に書かれている教えをめぐる論争である。イントレーター氏は、異邦人教会はメシアニックジューと「アライメント(連携)」しなければならないと主張しているが、これは「異邦人教会がメシアニックジューに服従し、メシアニックジューの権威の下に置かれる必要があるという教え」であると批判を受けている。
  • 狭さの中にある広い希望(The Narrow Wider Hope):これはティックーンの創始者であるダン・ジャスター氏の造語で、福音を聞いたことがない、あるいは反ユダヤ的な環境でしか福音を聞いたことがないユダヤ人は地獄に行くのかという問題を扱ったものである。イエス・キリストに対する信仰を告白していなくても救われる可能性があるというこの教えは、福音派の教えとはほど遠いもので、救いはイエスのみにあるという教えを根底からくつがえすものであるという批判を受けている。
  • 使徒:ティックーンの指導者は、みずからのことを使徒(小文字のapostle)と呼び、会衆の枠を越えて複数の会衆を監督する神のしもべであるとしている。これに対し、使徒職は今日の教会には存在しないという批判を受けている。また、ティックーンの指導者と新使徒的宗教改革(NAR)との関係も指摘されている。NARを批判する人々は、NARは論争や問題が多く、イスラエルのメシアニックジューをNARの影響から守りたいと考えている。

ティックーンと、ティックーンを批判する側のやり取りが続いているものの、この問題は今もって決着していないと記者は記している。

この記事では、この論争の影響で、ヘブル語を話すメシアニック会衆の指導者が集まるカンファレンス「ケネス・アルツィ(Kenes Artzi)」への出席者が減少しているという問題も指摘されている。

記者によると、この論争は過去2年間にわたって続いており、これまでは問題を記事にしないようにとケネス・アルツィから求められていたということだ。しかし、この論争が次第に世界中のキリスト教会で知られるようになってきたことから、正しい情報をもとにクリスチャンが祈ることができるように、記事として取り上げたと語っている。

この問題は、第二次世界大戦直後に起こった使徒の回復運動である「後の雨運動」をめぐる事件を彷彿とさせる。この事件は、1948年にカナダで起こった「後の雨」リバイバルの教理をめぐって北米のペンテコステ派に分裂の危機が生じ、1949年に米国アセンブリー教団が後の雨運動を異端と宣言したものだ。今回のイスラエルの件と、後の雨運動をめぐって北米で起きた混乱を見るとき、教会の分裂という現象は、現代の使徒運動に内在する本質的な問題であることがわかる。その詳細については、Q&A記事「現代の使徒と預言者は教会を一致に導くというのは本当ですか?」(作成中)をご覧いただきたい。

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  • Q&A「現代の使徒と預言者は教会を一致に導くというのは本当ですか?」(作成中)
  • 使徒運動の歴史「後の雨運動」(作成中)

参考資料

David Lazarus, “Messianic Jews Head Toward Breakup,” Israel Today(2020年2月3日)